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【3334】ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.36「影武者」(1980年) 事務局 田中忍
メール tnk@orange.ocn.ne.jp 
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当委員会会長の田中忍が、ads.FMで三重県ゆかりの映画について話を
しています。コーナータイトルは「三重の映画に恋をして」、略して「みえこい」です。
第36回目は次のとおり5月24日(日)の放送です。本放送は、インターネット
でもお聴きいただくことができます。
詳しくは、ads.FMのホームページでご確認ください。
http://www.catv-ads.jp/fm/
放送日時:5月24日(日)午前11時20分から午前11時36分(予定)まで
放送局:コミュニティFM『ads.FM』
番組名:weekend mix
ナビゲーター:北山ヒロトさん
紹介映画:「影武者」(黒澤明監督、1980年)
          壮大なスケールで描く時代劇、さすが「世界のクロサワ」と
     言われる作品です。
     伊賀上野城で、一部、撮影されています。
放送内容は、放送後にこのページに掲載します。  

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投稿日 2020/5/23 (Sat) 7:12:11
更新日 2020/5/23 (Sat) 7:12:36
 

【3335】Re:ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.36「影武者」(1980年) 事務局 田中忍
メール tnk@orange.ocn.ne.jp 
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【放送内容】

この映画を観ますと、敵を欺くため、自分とよく似た風貌の人物に自分と同じ髪形をさせたり同じ服を着せて身代わりにする、という“影武者”が、戦国時代には必要とされたのがわかります。戦国時代の武将はいつ敵に狙われるかもしれません。この映画の主役である武田信玄もそうですが、万一、敵に殺されそれが世間に知れ渡ったら、武田家の存続問題という致命傷になるので、信玄の命を守るため、影武者が本人の身代わりとして、いろいろなところで演じていたと思われます。この映画では、そのような場面は描かれていませんが、例えば、移動の際は本物が出かけるルートと影武者が出かけるルートを分けていたと思います。影武者が出かけるルートはおおよその人々が考えるルートで、本物は「まさかそのルートで出かけるとは思っていなかった」というものだったと思われます。

この映画では、生前、信玄が武田家の存続のために、「万一、私が死ぬことがあっても、三年間はその死を隠し通せ」という遺言を語っています。実は信玄はある事件によって亡くなるので、信玄の死後は、影武者によって武田家の存続を図ったのですね。実は、これまで信玄の影武者としてふるまっていたのは弟の武田信廉でした。たまたま、はりつけの刑にされる泥棒が、信玄に瓜二つなので城に連れてきて影武者にさせようと信玄に会わせます。映画の冒頭では信玄と信廉、そしてこの泥棒の3名が話をしている場面が映し出されます。固定カメラで7分位でしょうか、ワンカットなのですけどね。それぞれ違う人物なのですが、ロングで撮影されているせいか、3名の風貌がよく似ているように思えます。それから、この映画では、泥棒を影武者に仕立てようとする家臣の苦労とは裏腹に、この泥棒が自分勝手に動いてしまって影武者であることが周囲にバレルのではないかと冷や冷やさせられるところもあります。しかし、影武者が信玄本人の気持ちや行動を学び、周囲をあっと思わせるシーンもありました。

そして、武士ではない影武者の目を通して、家来が、武田家のために無残にも命を落としていくという悲惨な姿が描かれています。特にラストに近いシーン、武田家と織田信長・徳川家康の連合軍との戦いを描いた「長篠の合戦」は印象的です。是非、映像で見ていただきたいので詳しくは言えませんが、よく時代劇では、騎馬隊が敵に向かって進んでいく際、敵の鉄砲隊によって打倒され、武士は落馬し、馬とも死んでしまうという描写が多いのですが、この映画はそのような描写をせず別の描写によって合戦の無残さを描いています。8分ほどあり、カンヌ映画祭で上映された際、絶賛されました。

ところで、この映画に関するいろいろな話題があったなと思い出しました。

第一は、今に比べると、黒澤明という監督の偉大さが日本だけでなく世界に伝わっていて、「世界のクロサワ」と大きくクローズアップされていました。黒澤監督の映画は、観終わるといつも充実感があります。人間の感情や行動をしっかり描いていて、観ていて違和感がないので映画の中の登場人物に感情移入しやすいのです。「影武者」までに国内の映画賞やキネマ旬報のベストテンだけでなく、海外のヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、アカデミー賞など、多数で受賞やノミネートされています。そして、この「影武者」は、黒澤映画から多大な影響をもらい黒澤明監督を尊敬する、アメリカのフランシス・フォード・コッポラ監督とジョージ・ルーカス監督が外国版プロデューサーとして関わった点も大きく注目されました。つまり、この映画の製作費は14億5000万円という巨額な資金と言われていますが、その中の一部を二人の監督の手により、アメリカの映画会社から捻出させたわけです。

黒澤明監督は今年が生誕110年です。遺作は1993年に公開された「まあだだよ」です。1998年に他界されもう12年も経ちました。当然、若い方々で黒澤監督を知る人も少なくなっていて、黒澤という名前も、あまり聞かなくなってきたように感じます。

私は、この「影武者」は3時間という上映時間が少し長いと感じました。これまでも3時間という長さの黒澤映画はあったのですが、それらを長いと感じることはなかったのですが、今回は、3時間も引きつけるような展開が弱いように思いました。ただ、当時をリアルに再現するためにたくさんのエキストラを配置したり、撮影場所や衣装などにこだわり、徹底した絵作りをしているのはクロサワならではで、映像が美しく端正で、そしてダイナミックさが感じられ、今では、このようなスケールの大きな映画に出会えないだろうと思います。

ところで、この映画制作時に、主役交代という衝撃的な事が起こり、当時のマスコミは大騒ぎとなりました。出来上がった「影武者」の主役は仲代達矢ですが、製作発表時は、勝新太郎が主役でした。勝新太郎は、「悪名」「座頭市」シリーズで有名になった俳優です。因みに、勝新太郎を育てたのは、晩年、名張市で暮らされた映画監督の田中徳三さんです。大映という映画会社があるときに、田中・勝コンビで、20本ほどの映画を製作しています。もう少し言えば、田中監督は、黒澤監督、1950年公開の「羅生門」の助監督をしているのです。で、勝新太郎は、自身でも映画監督や製作を行い、大スターとなっていたので、「世界のクロサワ」が勝新太郎を主役に「影武者」を撮影すると発表された際は、皆が驚き、どんな映画ができるのだろうと、期待したのですね。

勝新太郎はね、この映画に出ることをとても喜び、自分のリハーサル風景を撮影し自分の芝居を研究しようと、ビデオカメラを持ち込んでいいかと、黒澤監督に許可を求めたのです。監督からは、「その必要はない」、ビデオを見て、自分で演技プランを立ててもらっては困る、というようなことを言われ拒否されました。つまり、黒澤監督の演出プランに俳優は合わせてもらわないといけないという意味だったのですね。冷静に考えれば、両者ともいい映画を作りたいという気持ちでの言動なのですが、普通は監督に従わないといけないわけです。ところが、勝新太郎は黒澤監督に「気分を害した。こんな気持ちでは演技ができない」と言ってしまい、「では、勝君には辞めてもらうしかないな」と黒澤監督から言われ、勝新太郎が主役を降りたのです。そして、黒澤監督は、これまで黒澤映画に出演していて、次作「乱」で主役を演じる事になっている仲代達矢を、「影武者」の主役に抜擢したんですね。

実は、仲代達矢側からいえば、これまで仲が良かった勝新太郎の仲が引き裂かれてしまった形になります。仲代達矢の自伝を読むと、「この映画がきっかけで勝さんとの付き合いがなくなりました。が、私の女房が亡くなった1996年に、お葬式にきてくださったのです。その時、お線香をあげられ、『大変だったな』と言ってくださり、握手をしました。『影武者』のことは何の話題もなく、『女房を亡くしても頑張ってな』と抱き合って別れました。そんな勝さんも一年後に亡くなってしまいました」とのことです。

ところで、映画が始まって2時間ほどたった際、武田家と徳川家によって激しい争奪戦が繰り広げられます。その舞台は静岡県掛川市にあった高天神城でした。この戦闘シーンが伊賀上野城で撮影されました。当時の撮影の様子を地元の方が語っている新聞のスクラップを持っていますので、抜粋して紹介しますね。毎日新聞の2011年1月7日号です。これによりますと、“主役級の俳優は参加していなかったが、150名ほどのエキストラが集められていた。伊賀上野城の高石垣の上と下の撃ち合いをしていた。普段はお堀に水があるのだが、お堀の水はほとんど抜かれていた。石垣の高さを強調するためだったろう。そして、黒澤監督はお堀の中にいて、カメラを回していた。”とのことでした。映画では、数十秒ほどしか映らないのですが迫力あるシーンになっていましたね。

音楽:映画「影武者」メインテーマです(作曲:池辺晋一郎)

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投稿日 2020/5/24 (Sun) 17:55:24
更新日 2020/5/24 (Sun) 17:55:24
 


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