最近見た映画

  もどる     新規投稿     トピック表示     次の10件     前の10件  

【3554】「来る」(中島 哲也監督、2018年) 田中 忍
メール tnk@orange.ocn.ne.jp 
URL  

先月9日、イオンシネマ津南がオープンした。新しい映画館に足を運ぶのはもう何十年ぶりだろう。自宅から車で30分もかからない距離なので非常に便利。劇場の椅子の座り心地もよく、これからお世話になろうと思っている。

さて、同館で中島哲也監督の新作「来る」を見た。これまでの中島監督作品は肌に合うのと合わないのがあったので、本作はどうだろうと、ちょっと前まで気になっていた。が、よっかいちフィルムコミッションが作成した三重県ロケマップを見た際、映画のワンシーンの写真が掲載されていて引き込まれた。構図のうまさ、光の当て方が、これまで見たことのない幻想的なものだったりファンタジーを醸し出していた。

*同フィルムコミッションのホームページにロケマップが掲載されていますので、どうぞ、ご覧ください。
http://yokkaichi-fc.jp/news/427/

映画が始まると、小学校や川のシーンがロケマップに掲載されたもので、「さすが三重県!」と嬉しくなった。法要のお寺や宴会のシーン、そして主人公の幼少時代の様子も三重県での撮影である。そして、その後の現代のシーンでは、場所を変えて文字通り「絵に描いた」ような幸福なシーンを映像は見せる。少し生理的に合わない程のくどい描写であるが、実はここに本作のミソがある(ので、詳細には記さない)。

そして、タイトルが示す『あれ』が来る!

本作は、日常をしっかり描いていて、このような生活シーンなら、自分たちも日ごろ経験しているじゃないかという気持ちにさせておいて、ガツンと『あれ』が来る。だから、自分の日常でも起こるのではないかという恐怖心に襲われる。また、改めてホラー映画はベテラン俳優が出演しないといけないと、本作を観て思った。よく高校生のような俳優がキャーキャー言って殺されてしまう映画も多いが、描写が軽い。その惨さには目を覆うけれど怖さは伴わない。本作では、妻夫木聡、黒木華、岡田准一、小松菜奈が本気で恐怖を演じていて、観ている私たちもヒトゴトとは思えなくなっている。

この先どうなるのか。安堵できる日常は来るのかと、退治できない『あれ』にヤキモキする。

終盤、『あれ』の退治方法に日本らしいものが出てくる。やはり、これだよなと思うのだが、退治するために集まる人々の描写が僕は非常に気に入った。マジメに退治するための準備をしているのだが、「みんな頑張ろうぜ!」みたいな雰囲気がある映像で、恐怖から一転した、言わば肩すかしのような描写に乗せられてしまう。そこに集まる人物たちは、無名の俳優たちであるが、その中に柴田理恵の存在が光る(柴田だけでなく本作の出演者は皆うまい)。そして、『あれ』との死闘が始まるが、半端でなくマジで延々と闘う。描くスタッフも大変と思わせるほど作りこんでいる。中島監督の映像へのこだわりは、最初から最後まで一貫していて、各カットの構図や光の当て方など、その凝りようは他に類を見ないといって過言ではない。

ラスト。この映画が12月に封切られた意味がわかる。

上映後、「この結末って・・・」と女子高生たちが話していた。が、僕はこのラストシーンでよかったと思う。日常に『あれ』は潜んでいると思うから。映画が終わっても、実は心のどこかで『あれ』が出てこないかと引きずっている自分がいるからだ。チラシに書かれたキャッチコピー「こわいけど、面白いから観てください」は正しかった。

修正する
投稿日 2018/12/11 (Tue) 21:28:30
更新日 2018/12/11 (Tue) 21:28:30
 


■【3554】へ返信
名前
E-Mail
題名
URL
削除キー sage機能 ←削除キーは投稿内容を修正/削除する時に必要です

  もどる     新規投稿     トピック表示     次の10件     前の10件  

No.Password

Copyright:(C) 2004 三重映画フェスティバル実行委員会. All Rights Reserved.
Wing Multi BBS Pro 1.1.4