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【3550】「ちょっと今から仕事やめてくる」(成島 出監督、2017年) 田中 忍
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  本作を見る前に、このタイトルを聞いたとき、昨今、話題になっているブラック企業やパワハラを軽いタッチで描いている程度に思っていた。成島監督作品はお気に入りなので、作品よりも成島監督が現代社会をどう描くのかに関心があった。

 しかし映画が始まると、それが全くの間違いであることがわかり、穴があれば入りたい程、自分のノー天気さを情けなくなった。

 よく考えてみよう。職場に行けず苦しんでいる人や自ら生命を絶っている人がいる現実を前にして、軽いタッチで描ける今日の社会ではなくなっているのだ。

 僕のようにこのタイトルを軽い気持ちで言える人ばかりではない。映画を観た翌朝の新聞で、「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない訳」という書籍(一部漫画)が発刊されていることを知り、すぐに買い求めた。映画と同書をオーバーラップさせると、「仕事における強いストレスにより、精神障害を原因とする自殺を引き起こす」つまり判断力がなくなることにより、「会社を辞めるという選択ができない状態になる」とのことである。幸い、自分にそういう経験がないものだから、誤った考えを持っていた。申し訳ありません。

 さて、この映画は責任感が強い、まじめな青年(工藤阿須加)が会社で典型的なパワハラ上司(吉田鋼太郎)にけちょんけちょんに言われ、だんだんやる気をなくす。一方営業力優秀な先輩(黒木華)も、どのような営業活動をしているのか描かれていないのでわからないが、上司の「お前がこの営業部をリードしていくのだ、ノルマを必ず達成しろ」と圧力をかけられる。職場の雰囲気は悪く、呼吸困難になりそうな雰囲気になっている。そこに関西弁ペラペラの福士蒼汰が来て、工藤を励ますという設定である。

 映画を離れるが、人は誰も辛いことや我慢できる器を持っている。しかし器からオーバーフローするほど、それらが器にたまってしまうと、苦しくなり病気になる。本人は一生懸命頑張っているので、他人から「頑張れ」という声掛けは意味を持たない。むしろ逆効果になる。「これ以上、頑張れない…」。だから、話を聞く時間を持つことが必要である。「頑張ってでなく、オーバーフローしないよう、苦しむ相手が話せるような環境つくりをしてあげること」が大事だと僕は思っている。

 福士の役は、まさにそうである。福士の方に壁が作られていないので、なんでもかんでも話をしてしまう。福士が演じた人物はいったい誰なのかという疑問を解きながら話が進んでいくので、飽きることはない。

 本作や書籍を読んで、少しでも気持ちが楽になり、「会社を辞める」という選択をしてもよいと思える人が増えてほしい。

 働く人たち全てに見てほしい作品であり、企業は、この映画を人事研修の場で上映する位の余裕があるといいのにと願う。

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投稿日 2017/6/8 (Thu) 18:41:17
更新日 2017/6/8 (Thu) 18:42:19
 


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