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【3549】「お嬢さん」(パク・チャヌク監督、2016年) 田中 忍
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最近、にっかつロマンポルノが復活したり、『春画』展が都市で開催されたり、いずれも女性の入場者が目立っていると聞く。このような時代に、本韓国映画(成人指定)が公開されてよかったと胸を撫で下ろす。人目をはばかることなく、女性が成人映画を見られる環境は、映画が好きな女性には喜ばれるのではないだろうか。特に韓流好きな女性も多いので、ハ・ジョンウ(「テロ、ライブ」)やキム・ヘスク(韓流ドラマで欠かせない母親役が多い)など、僕もよく知る俳優はどんな役を演じているのか、日本の風景は三重県でロケされているが、どのような感じなのだろうなど、自分の関心ごとが自分で確かめることができない苦痛は、現代では取り除かれるべきと思うからだ。

本作は、「親切なクムジャさん」や短編「CUT」等のパク・チャヌク監督作品で、僕が見たこの2作は目を覆う程のバイオレンスが描かれている。ただ、どちらも映像美が堪能でき、非常に光や美術にこだわりを持たれる監督だなと気に入っている。「CUT」は指が切り落とされたり、ピアノ線で吊り下げられたり、見ていてピリピリする痛みが画面から伝わってきた。「ムクジャさん」も、あのイ・ヨンエが代表作のドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のイメージから一変し復讐のための殺人を犯すという、震え上がる設定だったので、本作は、どのようなサイコスリラーが描かれるのか、チャヌク監督の手腕を楽しみにしていた。

まず、裏切ることのない映像美に舌をまく。非常に品がある。1939年日本の統治下にあった朝鮮半島。そこに描かれる風景や建築にうっとりしてしまう。逐次、ここは三重県のどこそこでロケがされたと解説はできないが、桑名の六華苑でのロケシーンが何度もあり、この時代にピッタリおさまり、やはりこれまで何度もこの地で撮影がされたはずだと、改めて建築物と周囲の風景に見入ってしまう。他に名張や朝日町でも、ロケしているが、どこもいいロケ地であるので、これから世界各国からロケのオファーが来てくれるといいなあと、本作の三重県ロケに携わった一人として撮影当時を思い出し拝見した(クレジットに当委員会の名前があります!)。

監督が本作で描くバイオレンスは肉体を傷つけるより、心を傷つけるところにある。つまり、この時代は女性が抑圧されている。主人公の秀子は幼いころから叔父に卑猥な本を読むよう躾けられる。もしかすると、性的虐待もあったかもしれないが、その描写はないのでほっとする。大人になった秀子は男どもの前で、卑猥な本を読まされ、男どもの性的妄想の中で秀子を想像させるといういわば、レイプにも匹敵するような立場に置かれている。

秀子には侍女が世話を焼いている。当初、いわくつきで側近となった侍女であるが、彼女も抑圧された環境で育ったひとり。

ストーリーは、ある陰謀が進む中、関わる人々の心理の変化により、その陰謀が思わぬ展開になっていくので、スクリーンからひとときも目が離せない。しかし登場人物の心理の変化はよくわかる。そりゃそうだろう。身勝手な男の欲望に女性も利用されているだけではない!というどんでん返しが、ストーリーの中に盛り込まれる。

話題となっている秀子と侍女のラブシーンは、女性が見られるとどう感じるだろう。僕は、少なくとも、男の欲望の対象となる「見世物」ではないと感じた。むしろ、抑圧された女性たちが、当時の男には想像し得なかった「女性同士が愛するという行為」により解放されるという図式であると思う。二人が抱き合う様々な体型は何物にも束縛されない自由さを感じたのは僕だけだったろうか。非常にお気に入りである。

三重県ではイオンシネマ桑名のみで、5月26日までの上映予定である。関心ある方は是非!次の桑名フィルムコミッションのHPに撮影風景が掲載されています。
http://www.kuwana-fc.info/news/2599.html

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投稿日 2017/5/17 (Wed) 7:25:54
更新日 2017/5/19 (Fri) 22:42:29
 


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