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【3544】「ハドソン川の奇跡」(クリント・イーストウッド監督、2016年) 田中 忍
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  2009年1月、ニューヨーク・ラガーディア空港から飛び立った飛行機が、鳥の群れでエンジンにダメージを受け、ハドソン川に着水したという事実は、記憶に新しい、しかも155人の乗客は全員無事であったという、いわゆる「奇跡」を本作は描いている。と同時に、私は無知であったが、国家運輸安全委員会(NTSB)という組織があり、そのフライトは、人命を優先した機長の判断によるものであったかが審議され、本件で、社会的には英雄として扱われながらも、内部的には機長が容疑者扱いされたことに驚いた。が、それはこの業界では常識らしく、未だに世間知らずでいる自分が恥ずかしい。

 さて、本作でまず注目するのは、物語の構成である。飛行機が離陸〜ハドソン川に着水〜NTSBの調査・会議と時系列に描いていたら、本作は、これ程感動的にはならなかった。ネタバレになるので詳細には記さないが、映画を観ていて緊張感が持続できるよう、時間が再構成されている。特に、機長の判断が正しかったか否かが証明されるシーンは、非常にスリリングである。

 次に、最近の映画では珍しく96分という長さが心地好く、ダレることなく、ギュギュッと映画の醍醐味が詰まっていて、編集も構成と共に見事であった。

 そして、飛行機の着水シーンと共に、もし飛行機が街の中に墜落していたらというイメージ映像が、非常にリアルに描写されていて、実際の撮影はどのようにされたのか、現場が拝見したかった。後者の映像は、9・11を思い出す人もいて、アメリカとして非常に意味あるシーンを描いたとも言えよう。

 飛行機の着水シーンを中心にディザスター映画というエンターテイメント性を持っているので、臨場感とスケールの大きさや音響など、必ずや映画館で体感しないといけないと人にはアピールしている。が、監督が描きたかったのは、機長の人間性である。その証拠に本作の原題は、sullyと言って機長の名前を記している。邦題の「ハドソン川の奇跡」から感じるインパクトやメッセージ性を持つものでない。機長本人が、本作にも出演していて驚くが、機長は仕事への責任感を終始持つ尊敬できる人間である。「155人を無事救うには?」という意識が常にあった。また家族想いという面も描かれ、サリー機長の人物像がよくわかった。機長を演じたトム・ハンクスも、パニック状態に陥る気持ちを抑えながら冷静に対応する事、普通の人間である事を意識した演技で、素晴らしい。

 アメリカ人の良心が描かれた作品で、本年度の洋画ベストワンに輝くと思っている。

 クリント・イーストウッドは、もう86歳!何というパワーであることか!!

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投稿日 2016/9/28 (Wed) 20:41:16
更新日 2016/9/28 (Wed) 20:41:16
 


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