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【3533】「君の名は。」(新海 誠監督、2016年) 田中 忍
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  若い世代を中心に大人気の新海誠監督の新作アニメである。少し前、知人の新人声優の方に薦められたので見ようと決めたが、彼女から「よかったら、新海監督の『言の葉の庭』も事前に見ておかれるといい」とアドバイスをもらい、監督の「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」を見た。監督が自分の作品の方向性を確認できたと言われる「星を追う子ども」も見ておきたかったのだが、私が行くレンタルDVD屋では新海監督作品がずっとレンタル中だった。2作品と研究本を読んだ位で、知ったかぶりのような書き方を次にしているのでお許し願いたい。

 新海監督の風景描写は、実写と見間違うほどリアルであると言われている。我が家の小さなテレビでも、その通りと思うのだが、やはり大きなスクリーンで見るとリアル感がたっぶり感じられる。

 本作の冒頭には、最近では珍しくプロローグシーンがあり、観る側の気持ちを高ぶらせる作戦なのだなとニンマリした。ここで流れるのが『RADWIMPS』の歌。その後も、ストーリーが変わる時や気分を盛り上げようとする時など、彼らの歌が流れ、私は効果的であると思った。

 本作は新海監督らしく、人が逢いに行く、人と人がすれ違う、手紙をもらう、自分の気持ちをモノローグで語る、男女それぞれが掛け合うセリフがあったり、とこれまでの新海作品の集大成と言える点が多い。が、タイトルに何故「君の名は。」と記したかを解いていくストーリー展開が壮大であり、私が観た新海作品にはない、テンポや娯楽性&ファンタジーに、ぐいぐい引っ張られラストでは天井を突き抜けたような感動が味わえた。

 本作の予告では、男女が入替わるというメッセージが強く、私の時代では、大林宣彦監督の「転校生」へのオマージュも描かれるのだろうかと思ったが、全く異なる。男女が入替わるという発想は、宇宙的な規模に値するくらいのもので、私たちも入替わる可能性は低いと思うが、自分の思い出せない記憶や「会ったことがるのでは」という胸騒ぎが、本作が描いた運命の神秘や奇跡に繋がるのではないか、否、繋がって欲しいという期待を抱いた。

 声の出演の主役たち、神木隆之介、上白石萌音、そして長澤まさみらはとても上手く、特に主役二人は二役の声を使い分け、表現力の高さを改めて感じた。最近、若い俳優を主役としている実写映画も多く公開されているが、本作程の集客には至らない、作り手が観客を共感させるシーンを用意しているかという点に尽きるだろう。

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投稿日 2016/9/12 (Mon) 20:51:10
更新日 2016/9/12 (Mon) 20:51:10
 

【3534】Re:「君の名は。」(新海 誠監督、2016年) 田中 忍
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「秒速5センチメートル」(2007年)

 「第一話 桜花抄」「第二話 コスモナウト」「第三話 秒速5センチメートル」で構成され、主人公の中1から社会人までを描いた連作短編アニメーション(63分)。
 僕は主人公が話すモノローグの中で、第一話は中1という設定でありながら、その内容が大人っぽすぎると当初感じた。が、社会人になった主人公が回想していると思えばいいのかなと、今、思い直している。
  第一話は、待ち合わせ場所に時間通りに辿りつけない主人公の気持ちが丹念に描かれているのが特徴。携帯電話が普及していない1990年後半という時代を描いており、こういった焦燥感は私たちにもあったので、懐かしさを感じさせる。
 第二話では、種子島での生活という設定で、宇宙へロケットが飛ぶというエピソードが描かれ、地域色と共に新海ワールドの広さを感じる。
 第三話はエピローグとして描かれ、巧みな編集が見もの。

 風景が絵画調で色彩や自然豊かになっているのが特徴だ。
 
 主人公はいつもうつむいていて。大人しく静かである。自然の音や町の喧騒がよく聞こえ、むしろ、つぶやくように話す主人公たちの声を拾ってきたという印象を受ける。詩情豊かな作品で、私は、山アまさよしの主題歌が本作に合っていて、大いに気に入った。


「言の葉の庭」(2013年)

 「秒速5センチメートル」のイメージの延長とも感じられたが、高校生と27歳の女性との心が通うシーンを、都会のオアシスとも言える新宿御苑を舞台に自然たっぷり描き、映画を観ながら何度も深呼吸した清涼感ある作品(46分)。
 「秒速5センチメートル」も本作も人間の深い部分に入って描かないし、彼らを取り巻く環境も限られているが、中編という枠の中で、何が描きたいのかがはっきりしていて、新海監督のこだわりや作風を感じ取れる2作品と思う。


【参考】「彼女と彼女の猫‐Everything Flows-」(2016年)

 原作は新海であるが監督は坂本一也(28分)。就活を行なう女性の生き方を彼女が小さい時に飼った猫の視線を中心に描かれているが、新海はインタビュー(『新海誠、その作品と人。』)で、「これは決して悪い意味ではなく、違うものになっていると思います」と語っている。
  新海が監督したオリジナルは、YouTubeで観ることができる(4分47秒)。確かに全く違う。
  *その他、新海監督のCMもYouTubeで観れます。

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投稿日 2016/9/12 (Mon) 21:29:06
更新日 2016/9/12 (Mon) 21:29:06
 

【3536】Re:「君の名は。」(新海 誠監督、2016年) 田中 忍
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○ SWITCH インタビュー 達人達「新海誠×川上未映子」

  NHK Eテレで9月10日(15日再)放送されたもの。

 川上未映子と話す新海誠の人間性や考えがよくわかり(もちろん川上も)、非常に興味深かった。新海監督を僕は初めて見たが、冷静・インテリ・理系・謙虚という言葉が頭の中にひらめき、この監督だから「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」そして「君の名は。」が製作されたのだと、何の戸惑いもなく映画=新海誠という公式が成立した。

 アニメ制作をしている姿は、短い時間しか映されないが、制作スタジオに余分な物が置かれず、すっきりとしているのには驚いた。クリエイティブな仕事をしている人の机や部屋は、いつも資料や本が山積みされていて、その中からゴソゴソ引っ張り出すイメージがあるし、取りあえず資料等を置き、「またいつか見るだろう」のように置いてあることで安心になるという気持ちが強いと思っているのだが、このスタジオは不要なものは不要と、日頃から整理整頓がされ、非常にスッキリしていて、気分よく仕事をされているだろうなと、羨ましさと同時に、自分の机や部屋が片付いていないのを恥ずかしく思った。

 さて、新海監督は絵コンテを全て自分で描く。それは珍しいことではないが、奥さんに協力してもらい監督と奥さんで絵コンテを動かしながら、声を録音し、頭の中にあるイメージをだんだん具現化し生命を吹き込んでいくという事を聞き、驚いてしまう。監督と奥さんの声を録音した「君の名は。」の冒頭シーンが放送され、何て貴重な映像なのだと嬉しくなった。

 新海監督は、雲の形・雲の色を描くのが好きという。形・色によって、雲の表情は変化する。そのようなこだわりが、監督作品の背景を際立たせていると言えよう。「言の葉の庭」での雨の降り方の変化によって、心の機微を表現したという演出は、効果的で「確かにそうだ」と納得できる。

 新海監督の話の中でニヤリと笑った部分がある。監督がよく使うモノローグは倉本聰脚本のドラマ「北の国から」の影響を受けているとの事。僕は監督より世代が古いので、同じ倉本聰の脚本でも、「前略 おふくろ様」で萩原健一が、「昨日、悲別で」で天宮良が語るモノローグを、よく真似し自分に酔っていたことがある(笑)。

 番組の最後に川上が次のような事を言う。「『秒速5センチメートル』を観て感じた。「僕たちは似ていた」で監督は済ませられず、『僕たちは精神的に似ていた』と主人公に話させている。この言葉は監督の創作を貫いている。絵とか声とかが肉体だとしたら、言葉とかモノローグは精神に相当する。精神に相当するものが監督の言葉」と。さすが、言葉を大事にする小説家らしい、監督への賛辞である。番組中、監督も川上の「あこがれ」の小説において、少女が駆けていくくだりを誉めている。他人を誉める事は誉められた相手の気分を高くするし、相手から「ありがとう。嬉しい」という言葉を返してもうと、二人の心の結びつきが強くなったと感じられる。いい番組に出会えた・・・(ディレクター:手塚裕子)。

 本番組を見逃した方、非常に残念です。

 本番組がある事を教えてくれたのは、前述の新人声優さんでした。情報提供いただき感謝しています。

 PS:新海監督の映画が初めて上映された小屋は、「下北沢トリウッド」だったとは…。僕が行ったことある映画館だったので、非常に嬉しい。これからも気になる人物が出演していたらSWITCHを見るつもりです。

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投稿日 2016/9/16 (Fri) 22:05:34
更新日 2016/9/16 (Fri) 22:05:34
 

【3545】Re:「君の名は。」(新海 誠監督、2016年) 田中 忍
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「ほしのこえ」(2002年)

  約25分という短編であるが、スケールは大きく、男女の恋の切なさが描かれていて、観る者の心をつかむ。

 時代は2047年の設定。戦闘ロボットの操縦士になりたいと地球から飛び立ち彼女。彼女に送ったメールが到達するために、8年かかるという。遠距離恋愛と言っている場合ではない!

 映像で感心するのは、宇宙の無機質な空間にいると、雨が降る街、雪が降る街、教室、踏切など地球のありふれた風景が、とてもいとおしいし、懐かしい気分になる。

 これから何十年かすると、このような現実もあるのだろうと思わせる設定で、男女の心の声が、新海監督の得意とするモノローグによく現れている。「(私はor僕は)ここにいるよ」と星がささやいている・・・


「海のむこう、約束の場所」(2004年)

 新海監督の場面設置で、空・雲・踏切・電車はよく登場し、それは、僕の心を落ち着かせる。子どもの頃に出会った風景に思え、懐かしさを連れてきてくれるからだ。

 本作で冒頭、上記のシーンが描かれ、1990年後半を意識し、その時代に中学生だった『僕と彼女』を思い出す物語がスタートする・・・と思ったら、戦前という言葉が聞こえ、『蝦夷と呼ばれた島が他国の領土だったり』というセリフが入り、SFの状況設定が理解できないまま、話が展開していくので、置いてきぼりな感があった。途中で、状況がわかったのだが、観終えても、作品との距離感は縮まらず、気持ちは盛り上がらずじまいだった。

 ただ、「君の名は。」をはじめとした近作の原型になるものであり、少年と少女が再会できるまでの淡い恋心や思い出のシーンが現代に繋がり、やがてまた思い出になるのだろうという予感が本作にはある。

 「君の名は。」を観る前に、本作は観ておくべきだった。

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投稿日 2016/10/2 (Sun) 18:16:19
更新日 2016/10/2 (Sun) 18:16:58
 

【3546】Re:「君の名は。」(新海 誠監督、2016年) 田中 忍
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○ SWITCH インタビュー 達人達「新海誠×川上未映子」がアンコール放送されます!!
    お待たせしました(笑)!!
    次のとおり、アンコール放送されます。
    是非、この機会にご覧ください。
    
    日時:10月22日(土)22時から
    放送局:NHKEテレ
    公式ホームページ http://www4.nhk.or.jp/switch-int/
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投稿日 2016/10/16 (Sun) 18:05:40
更新日 2016/10/16 (Sun) 18:05:40
 


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