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2012/10/28 第10回三重映画フェスティバルに参加して 三重大学4年 田中千晴
*本年10月27日(土)/28日(日)に開催された、第15回小津安二郎記念蓼科高原映画祭の短編映画コンクールで、「Silent Love」(長尾 聖子監督)が入賞されました。長尾監督は、津市出身の横山智佐子さんが開校したISMPの8期卒業生です。長尾監督へのインタビュー内容を掲載します。

「Silent Love」制作風景 1. ISMPで学んだ事
 ISMPでは映画の制作を、脚本を書くことから編集して仕上げるまでハリウッド式で教わり、1年のコースで自分の作品を数本作ることができます。学んだことは多くて簡単には説明できませんが、実際に学んでから自分の中で映画の印象が変わったのは、一つ一つが奥が深くて、映画は“芸術”だと思いました。そう感じる程内容の濃い授業でした。
 また、私がISMPで学んで一番感じたのは、“映画制作はチームワーク”ということです。カメラワーク、照明、美術、音、編集、俳優の演技など、それぞれが効果的に表現されて、ひとつの作品を良いものにします。映画はその多くの力が集まって作られるので、一人の力では至難の業です。ISMPでは、自分が監督の時は他の生徒にはプロデューサーやカメラアシスタントなど他の役割をしてもらい、他の生徒の監督時はその逆で手伝い合います。また、アメリカに残っている卒業生やその友達が手伝いに来てくれます。学校と先輩方が作ってくれたコネクションのおかげで私の作品も作ることができました。
 その他にも横山校長先生が監督の長編映画や、卒業生がプロデューサーの作品などにも参加できたので、どういった役割の人がどう動いているのか、現場の流れを学ぶ機会が豊富でした。

2.「Silent Love」を監督して自身に影響を与えたことやエピソード
「Silent Love」1シーン この作品の前に、同期生との共同監督でひと作品経験しているのですが、「Silent Love」は初脚本・単独監督だったため、色々と協力を仰ぐのに奔走した印象が残っています。そのひとつが、話の設定でアメリカ手話が必要だったため、手話が出来る役者さんか指導できる人を見つけるために探しまわったことです。運良くその時ちょうど開催される聴覚障害者のお祭りがあり、取りたての運転免許で手に汗握りながらそこへ向かいました。夏の暑い時で、現地に着いたときはのどが渇き、とりあえずかき氷の店の行列に並びました。すると列の前に並んでいた人が話しかけてきてくれて、事情を説明したところ、知り合いに聴覚障害を持つ自主制作の映画監督がいるとのことで、いきなり連絡先を教えてもらうことができました。そのお祭りではその他に、ボランティア団体の人に台詞で必要な手話の見本の撮影を飛び込みでお願いしたり、とても収穫がありました。その甲斐あって、オーディションで選んだ役者さんは二人とも手話を普段している方ではなかったので、万全に整えた状態で手話のサポートをすることが出来ました。役者さんは、一人は聴覚障害がある人の独特なしゃべり方の演技がうまく、もう一人は手話の飲み込みが早く、お互い刺激し合って撮影までの短い間にすばらしい成長をしてくれました。
 特定の出来事で自分が劇的な影響を受けたということはないのですが、上記のような協力を得れたことで、自分の力だけでは出ない結果が現れてくるので、クルーや役者など自分の作品に協力してくれる人の大切さを感じました。そして集まってくれた人達に自分のイメージを明確に伝えることが自分の力の出しどころで、それが課題だと思いました。

3.蓼科高原映画祭での入賞の喜び
「蓼科高原映画祭で表彰される長尾監督」 まず入選したという報告を受けて、映画祭で上映してもらえるとのことで、それだけで嬉しかったのですが、まさかの入賞で驚きました。先ほども申しましたが、これもISMPや参加してくれた人達のおかげです。蓼科は小津安二郎監督が作品の執筆をしていた地で、その記念の映画祭だそうですが、ちょうど紅葉し始めの時期だったので、映画祭の帰りに山へ寄ってみました。あいにく雨だったのですが、絶景ポイントで車を降りてみると、雨で木々や草、落ち葉が湿っていたためか、独特のいい匂いが香ってきました。農産物直売所も、リンゴをはじめ、見たことないキノコ達や松茸、新鮮野菜に、変わり種では蜂の子など、色々あってテンションがあがりました。小津監督が気に入ったのがわかる気がします。そんな日本の名監督ゆかりの地で賞をいただき感慨深い気持ちでいます。

 貴重な体験をさせていただき、横山先生と映画祭応募を打診してくれました三重映画フェスティバル実行委員会田中様に感謝です。ありがとうございました。
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