TOP>三重映画さんぽ>映画「グッドラックGood luck 恋結びの里」の撮影に参加して 広瀬 友香・青木 利樹
*来年3月に三重県菰野町で先行公開される映画「グッドラック 恋結びの里」の同町ロケが本年11月に行われました。ロケに参加した愛知淑徳大学の学生スタッフ2名から、ロケ時の様子や感想を執筆していただきました。

「映画をつくる側に立って 菰野での10日間」広瀬 友香
 慣れない近鉄を乗り継いで、湯の山駅に到着した時の緊張感は相当なものでした。愛知からの学生スタッフとして『グッドラック〜恋結びの里〜』のロケに参加させてもらえることになり、ロケ合宿の前にあいさつに伺ったのですが、自身が思っていたよりも緊張していたらしく、スタッフの方たちを目の前に固まってしまいました。しかし助監督の皆さんと菰野のフィルム・コミッションの方々がとても気さくに話を進めてくださり、打ち合わせの終わりには緊張も解けて、11月のロケ合宿への期待を膨らませて帰ることができました。

 合宿前の打ち合わせからあっという間に2週間が過ぎ、11月5日、菰野町でのロケ合宿が始まりました。初日のスタッフの方たちとの顔合わせを済ませ、私は三重の学生スタッフの方と一緒に制作部に配属されました。担当の方から合宿中のスケジュールと仕事内容について説明を受け、具体的な現場での手伝いについて尋ねると、「その場その場でできる限り指示は出すけれど、手が空いたら自分から仕事を探しに来てほしい」と言われました。映画の撮影に参加できるという滅多にない機会の中、自分から仕事を見つけに行くくらい貪欲でいる方が、短い撮影期間でもよりたくさんの経験ができるからと教えていただきました。

 ロケ2日目、私の初の現場入りは主人公・修の姉が結婚相手を実家に連れてくる場面。初めて目にする映画の撮影風景に戸惑い、担当の方について「何をするのか、何ができるのか」とドキドキしていると、助監督の高明さんから「広瀬、ここ座れ!」と言われ、状況が理解できないまま呼ばれた場所に座りました。周りを見ると目の前にカメラ、照明、そして瀬木監督の姿が!突然のことで内心少しパニックになりながらも言われるがまま正座していると「はい、オッケー」と高明さんの声が掛り、出演者の方たちが呼ばれ撮影に入りました。後から尋ねると、カメラで撮る構図を一度スタッフで確認してから出演者さんに入ってもらうのだとか。撮影が始まってからは、カメラのレールを敷く作業や機材の移動など撤収までさまざまな作業をさせてもらい、現場初日からとても濃い1日になりました。

 それからは噴霧器を抱えて福王神社の石段を行き来したり御在所山頂で朝日を迎えながら準備をしたり、ミスをしてお叱りを受けた時もありましたが、現場で走り回っているうちにあっという間に1日が終わってしまうほど毎日が新鮮で面白くてたまりませんでした。また現場で毎日顔を合わせる他の部署のスタッフの方や出演者の方にも顔を覚えてもらえ、照明の機材を撮影中に持たせていただいたり、ヘッドフォンでどんな音を録音しているか聞かせていただいたり、出演者の方と食事の時間にお話する機会があったりと、合宿中は自分が想像していたよりずっとたくさんの方と関わることができました。

 普段の生活の中でずっと映画を観る側だった私が、映画をつくる側に立つという非日常的で貴重な体験ができたのですが、合宿での撮影も片づけも、打ち上げもすべて終えて愛知へ帰る電車に揺られているとき、菰野での10日間が本当に夢だったのではないかと思えるほど一瞬でとても淋しい気持ちになりました。

 しかし、大学3年生というこれからの将来の道を選ぶ時期の私にとって、合宿中に学んだことや今までにない経験ができたことはとても大きな刺激となりました。実際、合宿から帰ってきてから何事にも積極的に取り組めるようになったと自分でも感じています。これから先、新しい経験をたくさん積んで成長していく中で、菰野での10日間は振り返ることのできる体験になったと思います。


「映画づくりという夢から覚めて」青木 利樹
 撮影は、きつかったけど…1日1日が楽しくてあっという間でした。本当に濃く忘れられない経験です。この撮影に参加したのとしていないのでは自分の人生に違いがでると思います」
 『Good luck 恋結びの里』の撮影を終えた後、私が所属する映画ゼミでこう報告しました。地元に戻りまず感じたこと、それはこの映画制作について一緒に体験していない人に具体的に説明することがどれだけ難しいかということです。映画制作は特に体感しないとわからない仕事だと思いました。私が感じたことを文章でここに書いてもどれだけ伝わるかはわかりませんが何か少しでも伝われば幸いです。

 私がこの撮影を振り返えると印象に残る「出逢い」が3つありました。「人」との出逢い。「仕事」との出逢い。「自分」との出逢いです。

〜「人」との出逢い〜
 たくさんの素晴らしい方々に出逢うことができました。スタッフの方々、尊敬できる人ばかりでした。1人1人個性的でいろんなものを背負っている中で誰もが映画作りに対する強い情熱をもっているところがとても魅力的でした。5時〜0時にまでおよぶハードな仕事ですが誰1人嫌々やる人はいなく、1つの最高の作品をつくるため1人1人が全力を尽くしていました。映画。学生スタッフといえど同じ映画作りにかかわっている人間なので自分も負けないぐらいの心意気でいないとくらいついていけない、また半端な気持ちで参加したらそれほど失礼なことはないと思いました。なので常に必死でした。しかし同時に夢に本気でまっすぐな人たちと仕事することはこんなにも気持ちがいいことなのだと実感しました。またスタッフを支えてくれた宿舎でお世話になったママさんはじめ菰野町の人の温かさもとても心に残っています。「第2の故郷ができた」と映画制作に関わった人が口を揃えて言うほど愛情に溢れた町での撮影でした。

〜「仕事」との出逢い〜
 私はこの撮影に参加する前に「使われやすい人」になろうと目標を立てていました。まわりをよく見てどんな些細なことでも見逃さず自ら動く。動かなければ失敗もしないが成功もしない、失敗を恐れず動くこと。この撮影で身に染みました。1つの仕事が終わったら「次何やればいいですか」この質問は何回も使いました。しかし仕事に出逢うためは「求める」だけではなく「獲る」という感覚が大切だと実感しました。クランクインの日、いざ撮影が始まると私は自分に何ができるかわからず立ち尽くしてしまった自分をよく覚えています。目を凝らし、先を見ればどんな小さなことでも自分にできることがある。これから社会に出た時に自分に何ができるのかと思った時は『Good luck』の現場を思い出したいです。

〜「自分」との出逢い〜
 参加していた10日間、自分と向き合った10日間だったかもしれません。現場に出て自分がどれだけ無力かを思い知らされました。撮影に使う道具の名前もわからなければ、スタッフさんが使う用語もわからなかったです。1番記憶に残っているのが先輩に「青木、あれわらっといて」と初めて言われた時です。「笑えばいいのか?」さっぱり意味がわからなかったです。そんなわからないことだらけのところに出た時、自分が持っていたのは陸上で鍛えた走る体力と負けず嫌いな心でした。自分にはこれしかないなと思いました。このことをふと実感した時、人って意外とシンプルだなと思いました。同時に、何もわからないところでも両親がくれた身体1つあればなんとかなるものだと実感しました。

 こういった出逢いをくれた撮影は私の宝物となりました。そしてさらに映画が好きになりました。改めてこんな経験をさせてくださったすべての方にお礼を言いたいです。ありがとうございました。映画『Good luck 恋結びの里』1人でも多くの方に見ていただきたいです。

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